無音の音
(なんでこんなとこに。)

少女はドアを背にしてひたすらに絵を描いていた。

イーゼルに載っかった大きなキャンパス。

その向こうには、石膏でできた外人の胸像。

彼女は木炭を使って、キャンパスにそれをデッサンしていた。

彼女のキャンパスは、目の前と全く同じ外人が、少し憂いを帯びた顔ですましていた。
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