White girl
私を片腕で押さえつけ、見下ろしている男は
疲労の色どころか呼吸ひとつ乱していない。
相変わらずその真っ直ぐな目で見つめてくる。
一方私はというと、抵抗するもびくともせず、
ただ肩で息をするだけだった。
「はぁ…はぁ…」
私の荒い息だけが静かな廊下に響く。
あんなに関わらない宣言しておいてこんなに
あっさり捕まっちゃうなんて…
心の中で自嘲気味に笑った。
頭上から不機嫌そうに「おい」と声をかけられ、下から睨み上げる。
「……何。」
「お前、昨日言ったこともう忘れたのな。」
…そんなわけない。
「忘れてない、けど」
「じゃあ何で逃げた。」
「それはっ…」
そこで今朝のあの男の言葉が脳裏に浮かぶ
____関わりたくない
これは自分の本心だし、リスクを負ってまで
自分の本心に背きたくない。