【完】溺れるほどに愛してあげる


「…なんかお邪魔しちゃってごめんね?」

「ううん、そんなことないよ!楽しかった!」





とっこと亮くんと別れて、再び千景と2人きりになる。





「この後…どうしよっか」





朝、千景は帰したくない…なんて言ったけどあたし達は高校生。


まだ子供…だと自分では思っていて。





「もう1ヶ所、ついてきて。
まだ言ってないこともあるし」





風が頬を掠めれば、そこから体温を奪われていくほど冷えてきた夜。


繋がれたあたしの手だけが千景のポケットの中で温もりを保っていた。





「わぁ…綺麗だね!」





たくさんのイルミネーションと共に、大きな観覧車が美しくライトアップされている。


白やピンク、そして水色…


キラキラと輝くこの景色をずっと目に留めておきたいと本気で思った。


きっと写真で見てもこの美しさは、感動は伝わってこない。



自分の目で、この目で実際に見ているから綺麗だと心から思えるんだ。



そんな景色に見とれていると首元に何かがかけられた。





「誕生日、おめでとう」





と同時に鏡を開けてくれる。


そこに映る自分と、首元に光るネックレス。





「これ…!」

「浮かれすぎて言うのも渡すのも遅くなって…ごめん」

「そっ、そんなことないよ!
ありがとう…すっごく嬉しい…」





きっと千景からなら何を貰っても嬉しいんだろうけど。


それでもこのネックレスのデザインはどストライクであたしの好みだった。





「好みとかわかんないから気に入らないかもしれないけど…
ただ、優愛がつけたら絶対可愛いだろうなって、そう思ってこれにしたんだ」

「すっごく、すっごく可愛い…ありがとう…!」





1番のお気に入りに決定。


学校のある日はつけて行けないけど、ネックレスをつける機会があれば毎回これにしよう。


これをつけていれば今日のことを鮮明に思い出すことができると思うから。


隣にいなくても、千景を傍に感じられると思うから。





「…千景、大好き…っ」





精一杯の感謝と愛情を伝えたくて、あたしから千景に抱きつく。



飛びつく…と言っていいくらい勢いがついてしまったけど。





「喜んでくれて良かった…」





そう言う千景の顔を見たかったけど抱きついていて見れないし、今あたしの顔はりんごみたいに真っ赤で見せられない事態になっていると思うから仕方なく諦めた。


千景の胸に顔をうずめる。


ああ、なんて幸せ。


今日で何回、千景に出会ってから何十回思ったことだろう。



ありきたりに幸せ、としか言えないけどだってそうなんだもん。


あたし世界で1番幸せだよ、千景…

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