【完】溺れるほどに愛してあげる





それを聞いたのは8月3日。



亮くんからLINEYでメッセージが届いた時だった。


『千景さんと…行ってくれませんか』

『実は…誕生日なんです』





亮くんによると夏祭りのある8月5日は金田の誕生日で、みんなでサプライズがしたいらしい。



あたしはその計画を成功させるために金田を夏祭りに誘い、この丘へ連れてきた。


花火が打ち上がった後、あたしが


『お誕生日おめでとう!!』


と言うのを合図にみんなが出てくる…そういう算段。


驚く金田の顔が目に浮かぶ…



なんて想像をしながら、昨日眠りについたのに。



あたしが描いていたものとは一回りも二回りも違った展開。



だって、まさか金田が告白してくれるなんて…思わないでしょ!?



みんながいることは頭に入っていて恥ずかしいと思うのに、それ以上に嬉しさが上回った。





「おめでとうございます!!!」

「…は?!」





亮くん達の登場に驚いたのか、石のように固まってしまった金田。


あたしもみんなが放つニヤニヤ顔に穴に入りたいほど恥ずかしかった。





「千景さん!お誕生日おめでとうございます!」





陸くんが


"HAPPYBIRTHDAY"


と書かれたカラフルなプラカードを掲げる。



すごい…みんなで作ったんだ。


あたしも関係ないのに勝手に感動してしまう。





「サプライズです!」

「もしかして…」

「優愛さんにも協力してもらって!」





そう聞くと、マジか…と腰を落とし両手で顔を覆っていた。





「全部聞いてた…?」

「聞いてたし見てました!」





ビシッと敬礼するように右手をこめかみのところへ当てる。





「お二人方おめでとうございます!」





一斉に拍手を送られて、恥ずかしい以外の何ものでもない。


お、お願いだからそっとしておいてほしい…



それでもみんなは


良かったですね!お祝いですね!


ってニコニコニコニコ笑っている。



あたしも恥ずかしさでいっぱいだったけど、みんなからの祝福に嬉しさがこみあがってきた。




あたしも金田が好きで、金田もあたしのことを好きでいてくれてるんだ。


同じ気持ちなんだ。



ふふふ、嬉しいな…

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