ひょっとして…から始まる恋は
藤田君はその後、教授室にもお土産を持って行った。
中では先生達から冷やかされているみたいで、新婚っていいな…と思ってしまう。



「いいわね、新婚旅行だって」


松下さんも私と同じことを思ったらしい。
早速貰ったお土産の封を切り、ヤケクソのようにチョコを摘んで口の中に放り込んだ。


「ん〜っ!甘いっ!」


新婚のくれる物なんて口にしない方が体に良さそう、と毒舌を吐き、それでももう一個…と言って口の中に放り入れる。

私と三波さんはそんな彼女の裏腹な態度に呆れつつも笑みを浮かべ、自分達も一個ずつ食べて仕事に戻った。




午後一で私は図書館に向かった。
叔父に頼まれて論文の資料探しに行ったのだ。


二時からは藤田君が面会希望者と一緒にやって来る。
だから急いで資料を探さないといけない…と焦るせいか、なかなか本が見つからずに困った。


「もうっ、何処にあるの!?」


ブツブツ文句を言いながら本棚を見上げ、一番上の方にあるのを発見した。


「寄りによってあんな所」


呆れながらも踏み台を探し、やれやれ…とその場所に戻ってきた。


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