ひょっとして…から始まる恋は
それでもいいから彼を好きでいようと決めた筈なのに、どうして泣くことがあるだろうか。


(だけど、やっぱり知るとショックだ…)


いっそのこと知らずにいれたら良かった。
高校時代の頃のように、彼女がいるという噂だけでいたかったのに……。


(こんな風に知ってショックを受けるくらいなら、とっとと諦めてしまう方がいいの?)


それが出来たら一番いい。
さっさと忘れてしまえたら、もっといい恋に出会えるかもしれない。

けれど。


(諦めるとか…そんな簡単にいかないよ…)


高校の卒業時には、もう二度と彼に会わないと思うからこそ、何とか気持ちを振り切ることが出来た。

結局大学に行っても会社に入っても、藤田君以上にいいな…と思える人に出会えなくて、これまで彼氏の一人も作らずにいたのだが。


(今はひょんな場所で彼と会ってしまうし、あの頃よりも接点が増えた分、話も沢山出来るようになれたのに……)


それなのに諦めるなんて無理。
出来れば彼女なんてフってしまって、私のことを見て欲しいくらいに彼のことを想っている。


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