花に美少年

「そんな、」

「あーあ、可哀想・・・ってことで私は仕事に行くから」

準備を終えた真奈美が立ち上がり、悪戯な視線を向けてくる。それに続いて不満顔で立ち上がった私は、玄関まで家主を見送りに行く。

「鍵返すの明日でいい?」

「うん。1時には兄が迎えに来るから、部屋探し頑張ってね」

「真奈美、色々ありがとう」

「良い報告、期待してるからね」

「良い報告って」

「年下の、男の子~♪」

「もう!古いから!いってらっしゃい!」

鼻歌交じりの真奈美を送り出してから、疲れ切った身体を布団に預けた。

どうしよう・・・充電器。



「最初に見た部屋、明後日には入れそうだけれど、どうする?」

昼間から始まった部屋探しは、気づけば夕方になっていた。
真奈美のお兄さんが紹介してくれた物件はどれも良かったけれど、その中でも一番気に入ったのは最初に見に行った部屋だった。
< 113 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop