花に美少年
1LDKの部屋は、10畳のキッチンダイニングスペース、6畳の洋室がスリガラスの引き戸を挟んで続き間になっていて、戸を開けておけばかなり広いワンルームのような間取りになっている。
何よりもお風呂が広くて綺麗なのが気に入った理由だ。それにオートロックにもなっているから、一人暮らしは初めてだけれど安心出来る。

「はい、あの部屋でお願いします」

「了解。じゃあ、手続き進めるね」

「あ、えっとお金は明日でもいいですか?」

「ああ、いいよ。可能な分を持ってきてくれれば、足りない分は俺が立て替えておくから」

「え、でもそれは申し訳ないです!」

「いいって。色々大変だったって妹から聞いているから」

「でも・・・」

「まあ、大手の不動産屋じゃ無理だろうけれど、うちは個人でやっている分、融通も利くから甘えてよ?」

いくら真奈美のお兄さんとは言え、優し過ぎる気遣いに申し訳ない気持ちになる。自分が情けない。

「そんなに気になるなら、この後飯でも行かない?」

「え?」

「ラーメンでも奢ってよ」
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