消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。



ワイワイ騒がしい中で、楽しそうに笑ってくれる畑中さんを見るのが嬉しくて、また僕も楽しかった。



会場に着くと、まだ空も明るい夕方からやっている屋台が数多くあった。


食べ物のいい香りが漂っている。


「あ…!」


どれからいこうかと迷っていると、畑中さんの小さな声が聞こえた。


その声に反応して視線の先を見ると、そこには金魚すくいと大きな文字が掲げられた屋台。



「金魚すくい、やりたいの?」


「うん!やってみたい!」


目をキラキラと輝かせる畑中さんの笑顔に、今日も今日とて心臓をやられる僕は健在だ。



畑中さんの頼みとあらば仕方ない。


そう判断した僕が誘導しようとすると、先に割り込んだのは哲だった。


「しゃあねえな。ほら行くぞ」


先導切って歩き出した哲は、ちゃっかり畑中さんの隣をキープして人混みに流されないようエスコートする。


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