初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
その箱を持ってそれを見ていると先輩の手が伸びてきた。

「それ、着けてあげるから」

こんな可愛らしいの、私に似合うだろうか。
髪を片側に寄せながらふと不安になる。

正面からそれをつけようとするから、露わになった耳に先輩の息がかかる。
サラリとチェーンが首元に乗せられるとそのひんやりした感触にピクリと反応してしまう。

「ごめん、冷たかった?」

「や、あの大丈夫……です」

大丈夫なんだけど、その耳元で言うのやめて欲しい。
それに先輩の指が微妙に首に触れて、なんだかそこがやけに気になる。

「できた」

そう言って先輩の指はその鎖をたどり、チャームのハートを撫でた。そして満足げに微笑んで言う。

「ん、良く似合う」

「ありがとう、ございます」

先輩の顔を見てたら、本当にそれが似合うような気がしてくるから不思議。
先輩の中で私ってこういうイメージなのかな?だったらこれが似合うようにならなきゃと思う。

「大切にしますね」

「ん、」

いつも私を見守っていてくれてる先輩の事、大切にしよう。いつまでもその笑顔が消えないように。

「クルミ?」

先輩は私の頬にそっと手を置き、まっすぐ視線を注いでくる。それが何を意味してるかなんて事言われなくてもわかるから静かに目を閉じた
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