初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「ダメだ。クルミ不足で息も出来なくなった」
そんな事があったら、ここにいられないはずなのに。
尤もらしく先輩が言うから、おかしくなってクスクスと笑いだしてしまった。
「クルミ、そこ。笑う所じゃない」
拗ねながら先輩が言ったけど。だってそんな顔をすればするほど先輩が可愛らしく見えて。
玄関でこんなやり取りをしているから、
「とりあえず、あがってくださいっていうか、いいんですか?先輩の家じゃなくて」
「ん?クルミがいれば俺はどこでも」
ニコニコとしながら、やっぱり今度も尤もらしく言う。
少女漫画に出てくる男の子がいいそうな言葉をサラリという先輩は、それがまた似合うから地でいっているとわかる。
なんとかリビングに移動してもらって、やっと寛ぎモードになってもらえるかと思い、キッチンに向かおうとすると、
「今日はクルミがいれば他はいらないから、いいから座って。ココ」
ココって自分の座ってるソファーの、いや、膝?ポンポンってした?
さすがにそこには座れなくて、隣に座ろうとすると手をぐっと引かれて後ろからしっかりと囲うように抱きしめられた。
「ただいま、クルミ」
耳元で囁くように言われてピクリと肩が上がり、それに追いうちをかけるように唇が耳に触れた。