初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
冷静で礼儀正しい坂下くんのイメージが少し崩れたというだけでぐっと親しみやすくなった。
それからは私も二人と同じように飲んで食べて、そして……




「クルミ?おまえどんだけ飲んだんだ?」

先輩がなんか言ってる、どれだけ飲んだって?目の前にあるの飲んだだけだし。
それに明日はお休みだし。

「先輩も、飲んで飲んでー」

「おいっ、飲みすぎだろ?おまえ」

飲み過ぎって。楽しいし、何だかこういうの久しぶり。
飲み会って言ったら合コンか会社のぐらいで。どっちも気遣いなく飲めるなんてことはない。

それに。あれ以来の私はどこかおかしい。
ソワソワしたり、先輩からのメールに妙に満足感を得たり。

なにより。

「あー坂下くん、飲んでないじゃん」

まるで中学生に戻ったみたいだ。
いや、中学生のときは坂下くんにほとんど話しかけることなんて出来なかったから戻ったわけではないけれど。

今ならこうやって簡単に話しかける事も肩に手を置く事も出来る。
あぁそうだ。ノリちゃんたちの事を話した時に坂下くんが言ってた。


『今だから、なんだろうな』

中学の頃をやり直したいとは思わない。

今、だから。色々知った上で、今さらに坂下くんを知りたいと思う。
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