初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

今日は愛羅ちゃんたちと一緒にご飯を食べてきた。
旅行前に話したい事があると聞いてたのは私だけでなく相良さんも。だからまとめてそれを聞いてみたのだけれど、まさかそれが……

「鈴木さんって、大胆ね」

「ま、でも。らしいっちゃらしいけど」

いきなり婚姻届って。鈴木さんはそれがプロポーズのつもりだったのかもしれないけれど。

「でもそれにダメ出ししちゃう愛羅ちゃんはもっとすごいよね」

「俺なら立ち直れないな」

相良さんがもしも同じことをしたら、私ならその場でサインしちゃうかも。なんて思ったのは内緒。

「ふふ、でもロマンティックなプロポーズを夢みる愛羅ちゃんの気持ちもわかるかな」

「だよな。やっぱもっと綿密な計画が必要だったか」

相良さんが少し残念そうに言うから慌てて首を横に振る。

お父様の墓石の前での誓いと、正式なプロポーズ。すべての喜びの言葉を並べてもまだ足りないぐらいだ。

「ううん、プロポーズ旅行。すごく嬉しかった」

そう、あれはプロポーズするための旅行だったと今なら分かる。

「……実は、かなり緊張した」

「え？」

「あんな経験、二度としたくない」

「されたら困りますっ」

「ないない。この先クルミちゃん以外はいらないって」

またサラッと甘い言葉を言う相良さんに相も変わらず頬を染める。
こんな言葉にも慣れる日が来るのか、言われなくなる日が来るのか。それは今後の私たち次第