初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
喜びの表現を全身で表している相良さんを受け止めながら思う。

この人に会えていなかったら、今でも表面的な恋愛をしていたかもしれない。

穏やかな中にもポッと心が温まるような事も。熱く心を震わせて自分の事のように怒るそんな姿にも。その人の心の痛みがわかるからこそ気持ちに寄り添えるんだって教えられた。

時に戸惑い、迷い、立ち止まった私に。それでも手を差し伸べ、じっと時を待ってくれていた。

この人しか居ない。
もう、相良さんが隣に居ないなんて想像もつかない。

相良さんの額に浮かぶ汗そっと指で拭い、そのまま首に手をまわした。そして、

「私も、早く…サクラに会いた……」

その時、彼がどんな顔をしたのが見られなくて残念だったけれども。それに答えるように律動が早くなる。

「俺。も、ヤバイ。すげー幸せすぎる」

そんな相良さんに胸がきゅっとなり、そしてその後じんわりと温かくなる。

「潤季……。」

愛してる、そう伝えようとしたのに、その後は言葉にならなかった。



「サクラが生まれても、訓歌を一番愛してる」





―――END
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