雨の日に傘をさして、きみにアイにくる。
「ふふっ」
今日も来てくれた彼に自然と笑みが零れる。
いつも雨の日になると、こうして小窓から私に逢いに来てくれる。
私は、彼の顔を知らない。
なぜなら、傘の大きさで、この小窓からは彼の顔が見えないから―――。
ただ分かっているのは、声だけ。
女の子のように高く可愛い声ではなく、少し低く透き通った優しい声。
この声が私は、好きだったりする。
聞いていて、どこか安心する。