伊東さんの運命の相手はクズでした。




「そう言えば、写真集また出すことになりました」

「凄いね、おめでとう」



ヘヘッと照れ臭く笑う彼は趣味だった物を仕事に出来て本当に嬉しそうだ。



兄の写真は好き。
初めて出した青色がテーマの写真集は今も大事にとってある。




今度のテーマは何かな。




「嬉しいです。彼女さんも喜んで『祝いだ祝い!』と友人と焼き肉行きました。僕も連れてって欲しかったです」

「主役抜きの焼き肉なんだ」

「はい、しかも叙◯苑」




兄貴は高校生時代からお付き合いしている彼女と順調らしい。



事故にあった当初、彼女さんが泣きながら駆け付けて来た時も本人はケロッとして

「そんなに泣くとその顔のアート作品崩れますよ」

なんて呑気に言ったせいで頰に1発食らったと聞いた時は流石この人の彼女だけあるなと妙に納得してしまった。


兄は乙女心が分かってない。



だけど多分このままゴールインするんだろうな。



この前売店でゼクシィ買ってたの見たし。




今もエロ本隠すようにその枕元に隠してんだろう。


そんなところに隠してたら彼女にバレるでしょうが。


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