この暴君、恋すると手に負えません


「あぁ、それは当時進路に悩んでた時に、片思いの相手がとある財閥の令嬢だったからさ。執事の方が近づけるかなぁって思って」
「単純かよ」
「単純過ぎるだろ?でも後悔はしてないよ。頑張れるきっかけになれたし」
「でもまさかこんな形でまた瑛斗と会えるなんて思わなかったよ」
「俺も。誉様にも婚約者が誰かまでは知らされてなかったからさ」


ーーそういえば皆が口にする誉様ってどんな人なんだろう?


「......虹美、昨日はごめんな。誉様の命令とはいえ、怖い思いさせたし気失ったのも全部俺のせいだ。本当にごめん。気がすむまで殴ったりしてもいいから!それで許されようとか思ってないけど!」

瑛斗は突然私の目の前で深々と頭を下げた。私は困ったように笑って、そんな瑛斗の頭にこつんと拳を軽く小突いた。

「じゃ、これで許してあげる」

すると瑛斗はきょとんとした顔をしたが、すぐにあの人懐こい笑みを浮かべてこう言った。

「......ありがとう、虹美」

その笑顔は昔から何も変わっていなかったーー......。


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