七色セツナ。1



電車が、K駅に着いた。


電車を降りた朱羽が
ホームを歩いていると


「朱羽!!」


それぞれ
制服の違うヤンキーが二人、
朱羽の背中に声を掛けた。


ゆっくりと振り向いた
朱羽の目を見た二人は、
一瞬動きを止めた。


「お、お前……。

久しぶりに見たな...その目」


小中と一緒の、地元の仲間。


少なくとも、高校に入ってからは、
その目を見ることはなかった。


「朱羽も丸くなったな」


「朱羽は大人になった」


と、地元の仲間達は
言っていたのだがーー


「・・・なんか、あったのか?」


問いかけても、一言も話さない。


二人は朱羽の両脇に立ち、
自分達が乗る港線のホームに
向かって歩く。


向かいから来る人々が、避けて行く。


久しぶりに感じる
朱羽の危うい雰囲気に、
二人は様子を伺っていた。


これは、ヤバイんじゃねーか?


と、二人は目配せする。



< 271 / 318 >

この作品をシェア

pagetop