Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
(2)-1 白い王子 白い国王

 眠っている自分の横にあった温かな身体が、するりとベッドを抜けだして
 いったことに気づいてミュアはうっすらと瞼をあけた。

 
 朝日が、ベッドを囲む薄い紗のカーテンをとおして、やわらかく差し込んで
 いる。

 しなやかな腕を頭の上にあげて、ミュアは軽くのびをする。

 もう起きる時間なんだろうけど、もう少しだけ微睡んでいたい。
 まだ、温かみの残るシーツに手をのばすと、ミュアは小声でつぶやいた。


   
    「どこへ、行ったの?」




 その声が聞こえたように、紗がゆれて、相手がベッドの上にあがってきた
 ゆっくりとミュアに近づき、ミュアの首筋に顔をうめる。
 くすぐったくて、首を縮め、腕をのばして、ミュアは愛しい身体を抱きしめた


   
    
   「まだここにいて」




 甘えた声でお願いすると、ミュアの身体に添うように、彼女は身体を横たえた


   

   「シルヴィ」



 満足げなミュアの声に応えるように、長い尻尾がゆらゆら揺れる。

 満ち足りた息を吐き、目を閉じたミュアは、再び眠りの中へ落ちていった。




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