大切なものを選ぶこと



うわぁ…すごい大所帯だ。



ブルーシートやパラソル、簡易テーブルにイスで確保された秋庭組の場所へと行くと、何故か盛り上がって歓迎される。




本家の顔なじみの組員さんたちが大勢いて、一人で参加の若い人たちもいるけど、ある程度の地位である程度の年齢の人は家族連れだ。大所帯も大所帯。





改めて、初めて会った春名家の一人息子こと駿くんは小学一年生だと思えないくらい聡明な顔つきで、聖弥さん譲りの凛々しさと両親譲りの身長で、6歳にしては背が高い方かな。



美男美女の子供はやはりイケメンになるのが常らしい…。






「おう、駿!久しぶりだな」





「弘さん!お久しぶりです!」





「あー…やっぱ駿はいい子だ…。小遣いでもいるか?」





きょとんとしている駿くんに代わって『アホか』と突っ込んだのは楓さん。





「俺はおっさんでもおじさんでも…ましてや、じじいなんかじゃないからな」





なるほど、そういう事か。



相変わらず千賀家の双子くんたちにおじさんとかじじいとか呼ばれることを気にしているみたい。






初対面の人たちと簡単に挨拶を交わしたけど、気の良い人たちの家族ってこともあってか、みんな優しくて話しやすい人たちばかりで安心した。





「あの弘さんの彼女っていうからどんな子かと思ってたけど…こんな可愛い子だったとわ…!!」




「美紅ちゃんみたいな子なら何も言えないよ~!」




「さすがに弘さんは女の子を見る目もあるのね…」





反応し辛いけど、歓迎してくれているみたいで良かった。



私と同年代の人から楓さんや椿さんと同年代の人まで、様々な年齢の人がいるので私だけ浮くことはなさそうだ。





「おー美紅ちゃん!長旅だったろう」





「昌さん!椿さん!」





え……?



ん……?




あまりにもいつものトーンだったから見逃しそうだったんだけど…



なんで昌さんは派手なアロハシャツに麦わら帽子なんだろうか…。普段の威厳のある組長オーラは皆無だ。



これじゃあただの休日のお父さん…。まぁ休日だからいいのか。




というか、そのシャツは似合っているのだろうか...。、






「昌さん…それ…」





「ん?これかい?似合うだろう。昔、蓮がハワイ土産でくれたんだよ。帽子はシャツに合わせて弘翔がくれてなぁ」






心底嬉しそうに言うので、それ以上は言葉を飲んだ。



昌さんにバレないように顔を覆って笑っている弘翔の様子から察するに、蓮さんも弘翔もネタとして渡したようだけど…。それを昌さんは気に入ってしまった、と。



椿さんも楓さんも口角が上がっているのに何も言わないので、私も見て見ぬふりをする。




ごめんなさい昌さん。ちょっと面白いです…。





「楽しんでってくれ美紅ちゃん!この後はスイカ割りもあるし、宿はいい温泉旅館で飯も旨いから期待してくれていいぞ!」




聞けば、15時や16時には宿に引き上げて宴会を始めるようだ。



だから今日のお昼はBBQとかではなくて、軽くおにぎりをつまむ程度。




美味しい夜ごはんの為に胃袋を空けておくようにと厳命が下った。





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