王太子の揺るぎなき独占愛
ふたりは強く抱き合い、お互いの体温を確認するように、何度も唇を重ねる。
レオンは角度を変えながら、サヤの唇を覆うようにキスを続けるが、その強引さの中に優しさと気遣い、そして経験を感じ、サヤは嫉妬した。
そして、レオンをほかの誰にも渡さないとばかりに強く抱きつくと、自分からもレオンの舌を探し、激しく絡ませた。
レオンはその動きに驚きながらも、喜んで応えた。
自分がいない間に、サヤになにがあったのだろう。
ここまで積極的に自分を求めるようになったサヤに、男としての欲も高まっていく。
「サヤ……」
つたないながらも必死でキスを続けるサヤが愛しくてたまらず、このままここで……。
レオンが思わずサヤを岩場に押し倒そうとしたそのとき。
「そろそろいいですかあ?」
間延びした声が響いた。
「いい加減、私も帰りたいんですけど。騎士たちもみな待ちくたびれてるんで、続きは戻ってからにしてください」
レオンとサヤはその声にハッと我に返り、辺りを見回した。
すると、少し離れた木の陰から、イザベラがにやにやと笑いながらふたりを見ていた。
「次期国王夫妻の仲がいいのは国民のひとりとしてうれしいんですけどね。夕食までには帰らないと、ジークさんにも嫌味を言われますよ」
「な、なにを……」
レオンはイザベラになにか言い返そうとするが、言葉が見つからず、口ごもった。
イザベラにからかわれることには慣れているが、今回ばかりはどうしようもない。
サヤも自分がしたことに気づき、恥ずかしさのあまり両手で顔を隠した。
「じゃ、馬を用意して待ってますので、色々と落ち着かせて、なるべく早めにきてくださいね。あ、サヤ、帰りはもちろんレオンの馬に乗せてもらってね」
レオンとサヤの慌てふためく姿に肩を揺らし、イザベラはその場を去った。