王太子の揺るぎなき独占愛



 きっぱりと言い切ったレオンの目に迷いはなく、覚悟を決めたものだけが持つ光が宿っていた。

 サヤは、その凛々しい姿に圧倒された。
 ただでさえ整った顔に、自信と覚悟と余裕が加われば、その姿に堕ちずにいられない。
 それに、たとえ王命であったとしても、サヤを王妃として望んでくれているのだ。
 その思いに応えたいと、心は大きく動いた。

「わ、私、レオン殿下のために、精進します。精一杯力を尽くして、レオン殿下が素晴らしい国王陛下になれるようお手伝いします」 

 レオンの言葉によってサヤも覚悟が決まった。
 これから王妃になる努力を重ねて、レオンのために成長していこうと、誓った。

 強い言葉を口にするサヤに、レオンは一瞬驚きの表情を見せたが、すぐに頬を緩めた。

「そこまで肩ひじを張らなくていいんだけどな。これまで一途に森に向けていた愛情を、俺に向けてくれれば、それでいい」

 レオンの静かな声に、サヤの心は震えた。

「私……森を大切に思う気持ちに負けないくらい、レオン殿下のことを好きになりそうです」

 これまでのレオンへの恋心など、幼い子どもの単なる好意のようなものだ。
 王位に就くという逃げられない運命に真摯に向き合うレオンに、本当の恋をした。
 レオンのすべてを受け入れよう。
 そして、いつか王妃としてだけでなく、恋人としても愛されたい。

 
 あきらめていた願いが、サヤの体に広がっていく。
 サヤはレオンを見上げ、肩に置かれた手の上に、自分の手をそっと重ねた。
 今はまだ愛されていなくても、いつか、恋人として、そして本当の王妃として、気持ちを注いでもらえるように頑張ろうと、笑顔を見せた。

「じゃあ、俺も王妃を大切にするし、守るから。安心して好きになってくれ」

 そう、たとえ今、レオンがサヤを好きだと言ってくれなくても。



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