【完】そして、それが恋だと知った日。

そういうことしたりするんだって思ったら。
泣きたくなるくらい胸が痛んだ。


やだ。いやだ。
勇気も度胸もないけど。
偉そうなこと言える立場じゃないけど。
誰にも、伊澄くんのこととられたくない……。


でもやっぱり恥ずかしくて。
周りの目線ばかり気になるから。
付き合ったりとか、そう言うの考えられなくて。


でも。
伊澄くんの好きな人になりたい。
伊澄くんの特別になりたい。
その思いは、どんどん膨らんでいく。


聞いて、みようかな。
でもそれって私が伊澄くんの事好きみたいに見えるのかな。
間接的な告白になるのかな。
自分の気持ちバレたくない。
でも聞きたい。……知りたい。


もやもや。
心に霧がかかったみたい。
黒い霧が、はれない。
みっともなくて。
こんな感情なくなればいいのに。
そう願いながらぎゅっと目を瞑った。





その日の放課後、ふと公園に寄りたくなった。
前来た時は会えなかったけど。
もしかしたら今日、会えるかもしれない。
淡い期待を抱きつつ、私はブランコに腰を下ろした。



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