君のことは一ミリたりとも【完】
俺は自分の彼女が元彼に手を出された時点で腹が煮え繰り返りそうなのに。
「ずっと見てたから分かる。凄く純粋な人なの。純粋すぎて、思考ばかりが先行する」
「まるで子供を見てるかのように言うんだね」
「そうなの、子供なのよああ見えて」
昔を懐かしむように笑った彼女を見て、やはり彼女にとって生瀬は大きな存在だったのだと嫉妬する。
大人げのない感情を抑え、俺は繰り返し尋ねた。
「亜紀さん、仕事どうするの」
「……生瀬さん次第ではクビになるけど、もしそうならなかったとしたら自分から辞めるかもしれない。引き継ぎもあるから直ぐってわけじゃないけど」
「そう……残念だね」
「……」
俺的には直ぐ様今の職場を辞めて欲しいと思ってるけど、亜紀さんも真面目な人だからなぁ。
思い詰めた表情の彼女を見て、俺は力が抜けたように笑った。
「じゃあ、もしその時は俺のところに来たらいいよ。全然亜紀さん一人ぐらい養えるから」
「は?」
「俺に永久就職、なんちゃって」
「ふざけてんの」
半分冗談で半分は本気だった。しかし亜紀さんは全部を冗談と取ったらしい。
しかし怒った彼女を見て普段通りに戻ったなと思うとこれからやることは色々あるけれど一先ずは最悪なことがなくて良かったと思う。