クールな社長の溺甘プロポーズ



「星乃、疲れただろ。先にシャワー使っていいぞ」

「えっ、でも……」



疲れているといえばいるけれど……大倉さんのほうが疲れているんじゃないだろうか。

そう思い渋ってしまう私に、彼はネクタイを外しながらその考えを察した。



「先に入らないなら一緒に入るけど」

「先に入る!!」



もう!またそういうこと言って!

でも本当に入って来られたら困る、と私はバタバタと脱衣所へ入った。



けどふたりきりで泊まりって、大丈夫なんだろうか。

ああは言っても実際手出しをするような人ではないだろう。それはわかってる。

けど、万が一、そうなったら……いやいやいや!恋人状態とはいえ実際付き合ってるわけでもないのにそんなことできない!

ていうかダメでしょ!拒め、私!



自分に言い聞かせながら服を脱いだところでふと気づく。

そういえば、お風呂から出たらなにを着るべきなんだろう。



普通はバスローブだよね。

けどさすがに気を許しすぎ?でも私服着るのもなんか、意識してるみたいだし……。

あぁもう!どうすればいいの!



私がひとりこうして頭のなかをぐるぐるとさせている間も、彼は余裕なんだろうな。

それが、やっぱりちょっと悔しい。





それから早々とシャワーを浴び終えた私は、濡れた髪をタオルで乾かしながら部屋に戻った。

結局バスローブにしたけど……はだけないように気をつけよう。



テレビすらもついていない静かな室内を見回せば、ソファには背もたれによりかかり目を閉じる大倉さんの姿がある。


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