クールな社長の溺甘プロポーズ
「大倉さん、シャワーどうぞ……って、あれ」
よく見れば、目を閉じた彼からは「すー」と小さな寝息が聞こえてくる。
寝て、る……。
大倉さんって、人前で寝たりするんだ。
いや、人間だし不思議なことじゃないけどさ。
だけどいつも油断しないイメージなだけに少し意外だ。
近づいてその顔をまじまじと見るけれど、やはり彼は起きる気配はない。
疲れてるのかな。
……そうだよね。仕事のあとに4時間も車を走らせて、疲れていないわけがない。
だけどそういう気持ちを言葉にも顔にも表さないから、気づけないよ。
目元にかかった前髪をそっと持ち上げると、しっかりと伏せられた睫毛から、彼の素顔に近づけた気がした。
「……ありがとう、大倉さん」
会えない時には現れて、苦しい時には言葉をくれる。
なんだってお見通しなのが悔しいけれど、そんなあなたに救われている。
今この胸に込み上げるのは、出会ったあの日には想像もしなかった気持ち。
あなたとなら、結婚してもいいかもしれない。