永遠の愛を(番外編も完結)
恋に盲目になって唯ちゃんや自分を見失うことより、私が一番恐れたのは彼を失う事だった。

いつか失うくらいなら、なにも始まらなくていい。

だけど、行き場を失くした彼への想いは消える事なく燻り続けた。

彼の会社に入社を決めたのも、本当はどこかで彼の存在を近くに感じていたかったから。

決して満たされることのないその気持ちを、時々他の男性に埋めてもらう事で、いつ崩れるか分からない心のバランスを取っていたのかもしれない。

「これでもう辛い思いをしなくても済む。そう思ったのに逃げた先は行き止まりだった。元来た道を戻ればよかったのに、時間が経ちすぎて足跡さえも見失って、ただ目の前に立ちふさがる高い壁を見あげるしかなかった。光も出口もないそこから戻る事も、進む事も出来なくて本当はずっと苦しかった。
だけど慶斗さんがその壁を壊してくれた。昔からいつも、私を助けてくれるのは慶斗さんだった。」
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