永遠の愛を(番外編も完結)
母は、空き家となっていたこの家を見た時、どんな気持ちだったのだろう。

あの日、思いもかけず母との再会を果たしたこの家は、今も家主を失ったままひっそりと静まり返っていた。

かつては、習字教室の子供たちの笑い声が絶えない日々もあったのに。

この場所に帰ってきさえすれば、会えると信じて疑わなかった両親はもうこの世にはいなかったのだ。

もう二度と会えない家族。

もう二度と戻らない時間。

その時の母の気持ちは私には計り知れない。

到底、言葉にする事も出来ないだろう。

そして母はヨシおばあちゃんから全てを聞くことになる。

その際ヨシおばあちゃんは、大切にしまっておいた一枚の封筒を母に手渡した。

もしかしたらもう二度と会えないかもしれない娘への手紙を、祖母はヨシおばあちゃんに託していたという。

その中に何が書かれていたのかは母と、それを書いた祖父母たちにしか分からないけれど。

きっと、2人は母の事をとっくに許していたと思う。

そんな気がした。
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