車椅子バスケ~希望の架け橋~(翼ver.に変更)

その時だった。
おっさんの婚約者が叫んだ。

精一杯のエール。
他の観客も同じようにおっさんに
日向コールが……。

溢れ出す気持ちに俺も釣られるように
叫んでしまった。

「日向の兄ちゃーん!!
頑張れー!!」

「俺の架け橋に
なってくれるんじゃなかったのかよ!?
だったら負けるなよ……俺に見せてみろよ!!」

大きな声で精一杯の想いをぶつけた。

おっさんと呼んでいたはずなのに
言葉に出したら兄ちゃんになっていた。

それは、きっと
俺の中で尊敬に変わっていたからだろう。

するとおっさん……いや。
日向兄ちゃんは、その声援に応えるように
前に出てきた。

ロバート選手に追い付いた。
だが、ロバート選手も全力で、それを
妨害するようにさらに前に。

お互い一歩も譲らないその姿は、
俺の憧れるプロの世界だった。

カッコいい……。

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