0.0000034%の奇跡



「髪、伸びたね」


胸のあたりまで伸びた毛先を巻いてスタイリングしてあげる。
艶出しワックスでクシャッとすれば出来上がり。
前髪もサイドに分けて顎ラインまである。


メイクもバッチリ決まったら見慣れてる僕でもドキッとさせられる。
鏡越しに目が合うと、いつも射抜かれグロスを塗る手を止めてキスしてしまう。
唇が離れて僕を見上げる目……色っぽい。


「グロス塗っていい?」って可愛く聞いてくるんだ。
「ダメ」と言いたいけど我慢。
ねぇ、本気で誰にも見せるなよ?今の顔。


どんな顔?わかんないよって笑う。
わかってよ、色気が滲み出てんだよ。
他の野郎は誘っちゃダメ。
僕だけが見れる特別な芹で居て。


黙っていたら見透かしたように頬を包まれ目を合わせる。


「私もう智くんの妻だよ?」


「うん、わかってる」


「智くんしか興味ないって言ってるでしょ〜?」


「うん」


「これ以上不安がったらまた襲っちゃうぞ?なんちゃって」


信じてるよ!
信じてるけど……
あぁ、やっぱりキレイ過ぎる……
モテるよこれは。
我ながら最強のモテヘアだ。




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