0.0000034%の奇跡
「はい、そこまで!すぐ終わるから先に待ってて」と車のキーを渡される。
それだけでも「キャー」と声をあげる助手の子たちはかなりのミーハーだと思う。
「これからも伊藤先生をお願いしますね〜また定期検診も待ってまーす」
「あ…はい、その時は宜しくお願いします」
外に出た後、ドッと疲れがにじみ出た。
き、緊張した〜。
そして、全部バレました。
次もお待ちしてます〜ってどんな顔して行けばいいんだよ。
でも彼女の仕事での新たな一面が知れて、それはそれで良かったのかも。
後から聞いた話。
今日の休憩時間、本当にたまたま恋人が居るかどうか聞かれたらしい。
誤魔化しても絶対に居るって話になって、絶対に彼女が施術してるってなって、一体誰だ?と推理合戦にまで発展……
女子の大好物な話題だもんな。
そしてまんまと現れた僕………
あぁ、不覚だった。
で、彼女の行動で皆がピンときたという……
どうか皆さん、笑ってやってください。
声高らかに。