0.0000034%の奇跡



駅の外に出ると、何処からかギターの音が聞こえてきた。
何だよ……若い子たちのコピーバンドか。
ん?音とリズム合ってないぞ?


周りにチラホラ人は居たけど、特にこの子たちの音楽を聴いてるわけじゃない。
普通に前を素通りしている人々。
駅前の小さな噴水前で2本のマイクスタンド。
ギターだけで男の子2人がよくわからないバンドのコピーをしている。


勢いだけで来てしまった知らない土地。
同じ区域に居るはずなのに。
もし闇雲に僕を捜しにホテルを出てたとしたら、こんな時間に女性1人で危ないよな。
何て事をしてしまったんだろうって後悔しても遅い。


会いたいよ、芹………


もう一度携帯で周辺地図を出す。
何か手がかりがあるかもしれない。
そう思った瞬間……


遠くで「ごめん、悪いけどちょっと貸して」と聞き慣れた声が耳に飛び込んできた。
すぐに反応して顔を上げたら、少し離れた噴水前に彼女であろう後ろ姿が見えた。
どうやらコピーバンドをしていた彼らに何か話してる。







< 94 / 175 >

この作品をシェア

pagetop