ぎゅっと、隣で…… 
 南朋はクラスの異様な空気が苦手だった。

音楽も国語も…… 

それに、南朋の好きな算数や理科は殆どない。

毎日国語の物語ばかりで、しかも意見を言わないと、田川先生からピンタをされる。

南朋は、意見を皆の前で言うのが苦手だ…… 

毎日ピンタだ…… 

 酷い時は、いけんを言わないからだと、給食当番をさせられていた。 


 そして、南朋がもっとも苦手と感じたのが、オペレッタと言う歌いながら踊る表現だ…… 

 皆の真似をしながら、体を動かし歌を歌うが、勿論皆より遅れてしまう。

 それが、田川先生の怒りに触れてしまうようで、南朋への攻撃は酷くなるばかりだった。



「役に立たない転入生だ!」

 と皆の前出ののしられ、クラスの子達からは、出来ない子というレッテルを貼られてしまった。


 それでも、必至で皆に着いて過ごしていた。



 集団登校も終わったが、優一と和希は南朋を迎えに来てくれた。


 南朋は、優一のお蔭でなんとか学校へ向かう事が出来た。



 しかし、途中の神社の前に来ると優一のクラスの男の子が声を掛けてきた。


「優一、走って行こうぜ!」


「おお!」

 と言った後、優一は南朋を見た。



「南朋ちゃんも走る?」


 南朋は大きく首を横に振った。


 走るのは嫌いだし、それに早く学校に着くのはもっと嫌だった。



「じゃあね」


 優一は、少し困ったような顔をしたが、走って行ってしまった。



 南朋は、今まで堪えていた物が胸の中で崩れていく音が聞こえた気がした。

 又、お腹が痛くなった。
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