ぎゅっと、隣で……　
　祭りの準備は毎週日曜日に行われる。


　気が付けば、秀二がいつも声を掛けてくる男達から南朋を助けてくれていた。

　だが、南朋は秀二の名前以外何も知らない事に、その時はまだ何も疑っていなかった。


　やはり、優一とは言葉を交わす事なく、祭りの準備は着々と進んで行った。



　祭りの前の日の夕食の時、婆ちゃんが何気なく口を開いた。


「隣の優一君、結婚の話があるらしいねぇ」


「まあ、そうなんですか？　お嫁さんと同居されるのかしら？」

　母は、世間話を楽しむかのように話だした。



「どうかね？　優一君、祭りの準備の時、何か言っておらんかったかねぇ？」

　おばあちゃんはリラっと南朋の方を見て言った。


「別に……　あんまり話しもしないし……」


　南朋は気にしていないように返事をしたが、胸の奥がチクリと痛んだ……　

　何故だろう……



「南朋、愛想のない事しいないでしょね？　近所の方の集まりなんだから、恥かしくないようにしてちょうだいよ！」

　母親の、不機嫌そうな声も、今は耳に入らなかった。



　何を私は、優一に期待していたのだろうか？


　私の運命はこんなものだと、また、自分の気持から逃げてしまっていた。
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