ぎゅっと、隣で…… 
暗くなると、空に花火が上がり三国のきおいが始まる。

祭りの盛り上がりも一段と激しくなり、男女構わず肩を組み、火の子の中へと飛び込んで行く。


南朋の肩には力強い秀二の腕があった。

そのまま、花火が落ちる中へと飛び込んだ。


花火の勢いに興奮し、皆が狂ったようにきおう中、優一を探す事は出来なかった。

 見つけたところで、どうする事も出来ない事は分かっているが気になってしまうのだ……



 熱い祭りが終わると、人々はそれぞれ散っていく。



「どうしたの?」


 聞き覚えのある声に顏を上げた。


 そこには、優一の姿があった。


 南朋の胸は、ぎゅっと熱くなる……



 南朋は苦しくなる胸を、押し殺すよう口から出た言葉は……



「人を探しているの」


 別に誰かを探している訳じゃない。

 祭りの余韻に立ちつくしているうちに、皆に取り残されてしまっただけだ……



「いっしょに帰ろう?」


 その優しい声に、肯きたかった。



 素直に肯けばよかったのに……




 でも、『優一君、結婚……』の言葉が南朋の頭をスーっと過った。



 南朋は首を横に振り

 「ごめんね」

 と優一に背を向けて走って逃げてしまった。





 南朋は振り向き優一を見た。


 肩を落としたように見えたのは気のせいだろう…… 

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