ぎゅっと、隣で…… 
 優一は、翔を家に送り届けると、家の門の影で南朋が待っていた。

 南朋は翔を見ると、家の中へ入って行ってしまった。


 南朋の母親が出てきて、お礼にクッキーをくれた。

 多分、弟の面倒を見るように言われた南朋は、皆の中に入れなかったのだろう…… 

 又、怒られなきゃいいが…… 

 優一は、なんだか心配になってしまった。



 次の日も、翔を連れて公園で遊んでいると、公園の門の前で南朋が立っている姿が目に入った。


 優一は、今度はそっと近づいた。


「南朋ちゃん。かくれんぼなら出来る?」

 優一は、優しく声をかけた。


 南朋は少し驚いた顔で優一を見た。

 そして、小さく肯いた。



「おいで」

 優一は、南朋に向かって手招きをした。

 南朋は優一の影に隠れるように、公園の中へ入ってきた。



「かくれんぼやろうぜ!」

 優一の声に、子供達は集まって来た。


「じゃんけんしょうぜ! でも、翔と南朋ちゃんは初めてだから、じゃんけんなしな!」


 優一の言葉に、子供達が元気に返事をした。


 和希の鬼だ。

 翔はすでに友達になった、同じくらいの男の子と一緒に走って行った。


 南朋は、一人で困ったように立ちつくしていた。


「ほら、こっち!」

 優一の声の後を、南朋は追い掛けてきた。

 
 和希が皆を探し出した。

 翔はすぐに見つかってまったようだ。


 優一と南朋は木と石の間に隠れ、和希が近づいて来ると、そっと南朋に反対側へ動くよう指を指した。

 和希が、さっさっきまで優一と南朋が隠れていた場所を見て驚いた。


 その様子に南朋が口を押えて、笑いを堪えていた。


 その顔が可愛くて、優一は一歩動くのが遅れてしまい、和希に見つかってしまった。



 それから優一は、翔の面倒を見る振りをしては、南朋を公園に誘い出して春休みを過ごした。
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