キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
花火の音でかき消されてしまいそうなほど小さな声で会長が呟いた。
弾かれるように会長を見る。
会長は真っ直ぐな瞳で私を見つめていた。
「本当は、お前が思うよりずっとこたえてる」
「え?」
「お前とこうして過ごせるのもあと少しなんだと思うと、わかってたことなのに案外寂しく感じるもんだな……」
そう苦笑すると、会長はまた夜空を見上げた。
その瞳は、どことなく憂いを帯びている。
会長……。
会長も、私と同じ気持ちなの?
こうして一緒に暮らせなくなるのを、少しは寂しいって思ってくれてる……?
「だけど、初めは逃げてばかりいたお前が、今その逃げたいことと向き合って、少しでも立ち向かおうとしてるんなら……。俺は全力でお前の背中を押してやりたい」
「……うん」
うん。
うん。
ありがとう会長。
ずっと、一人ぼっちだと思ってた。
誰も本当の私なんて理解してくれないって。
どこにも居場所がなかった。
そんな私を見つけてくれたのは、会長だった。
一人ぼっちだと感じでいたのは、自分が逃げていたからだって、会長が気づかせてくれたの。
あの日、会長が私を拾わなかったら、私は今も、こんな温かい世界があるなんて知らなかった。
あの日。
私を拾ったのが会長でよかった。
こうして会長と過ごせて、本当によかった。