きみだけに、この歌を歌うよ



あのとき、愁の告白を断らなくてよかったって思っていたよ。

だって私、愁と一緒にいられて幸せだったから。



『え!あの子が彼女?マジなの?悪いけど……愁くん、趣味わるくない?』



そんな嫌味を言われることも多々あったりして…。

そのたびに落ち込んだりもしたけど。



一緒に帰ったり。

公園のベンチではじめて手を繋いだり。

ぎゅうっと抱きしめられたり。



夕暮れの砂浜で、はじめてのキスをしたり…。



『菜々、好きだよ。本当に、この気持ちに嘘はないから。ずっと一緒にいよう』

『私も大好きだよ、愁。私、愁の彼女になれてよかった。私もずっと一緒にいたい』



愁と一緒にいた日々は、本当に幸せだった。



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