きみだけに、この歌を歌うよ
「ううう……バカ、バカバカバカ。愁のバカ…クソヤロウっ!嫌い!大嫌いっ」
愁なんか嫌い。
なによ、好きな人って。
ウソつき。
裏切り者。
薄情者。
……いや、ウソつきは私…。
それでもやっぱり、大好き。
嫌いだなんてウソ。
嫌いになんてなれない。
海の泡のように、こんな気持ちなんて消えてしまえばいい。
波のように、スッと引いてくれればいい。
膝をかかえるようにして座りこむと、涙がパタパタと膝に落ちた。
「あのさぁ……さっきからバカバカ言ってるけど、それってもしかして俺のこと?」