きみだけに、この歌を歌うよ
次の日から、毎日のように浜辺にいった。
梓の誘いも断って、愁の誘いも断って。
九条くんがまたギターをもって、この場所にくることを待っていた。
『九条くんの歌、聴かせてよ』
九条くんに泣きながらそう言ってから、もう10日が経った。
あの日から、九条くんが浜辺に現れることはなくなった。
それが意味することは、九条くんはもう本当に歌わないということ。
つまり……私の気持ちは届かなかった。
そういうことだろう。