きみだけに、この歌を歌うよ
きっと、九条くんは今日もこない。
波にくるりと背を向けて、防波堤のむこうに立つ白い家をみた。
九条くんの部屋は、カーテンが閉められていた。
そのむこうに九条くんはいるのかな?
そんなことを思いながら、じっと九条くんの部屋の窓を眺めていると…。
「あっ、菜々じゃん!そこでなにやってんの〜?」
離れたところから陽気な声に呼ばれた。
「ん……誰?愁…?」
はっと右を向けば、見通しのいい広い砂浜の真ん中で、私に手を振る愁が見えた。