きみだけに、この歌を歌うよ
ここしばらくは、遅刻ぎりぎりで登校してくる九条くん。
だからこうして、朝にばったり会うということはなくなってしまって…。
登校中に顔を合わせることは、2週間ぶりくらいか?
思わずニヤケてしまう。
「どっ……どうしたの?」
「いや……ちょっと、菜々に聞きたいことがあってな」
「へ?聞きたいこと……?」
黒い傘を手に、水たまりをよけながら歩きだした九条くんのあとを追いかけた。
「元カレと上手くいってるみたいだな」