オオカミ彼氏
そんな2人をジーッと見てから、
「…俺に任せてくれませんか?」
「「…っ!!」」
桜庭くんはポン、と胸を叩いて笑顔で言った。
お母さんとお父さんも顔を見合わせて、困惑しているみたいだ。
「…ちょっと、桜庭くんっ、任せるって…」
グイッと袖を引っ張って、桜庭くんに問おうとする私に彼は、
「忘れてる?」
急に顔を近付け、耳元でボソッと。
「…俺、オオカミだよ?」
「……っ!!」
色っぽい、妖しい笑みを浮かべながらそんなことを言ってきたのだ。
完全に固まっちゃっている私を他所に、
「3人は2階に避難しててください。…俺、こういうの慣れてますから」
ニコッと微笑んで、桜庭くんは玄関に向かって歩き出していった。
残された私たち。
お父さんは、少し心配そうな顔をしていたが、