神様修行はじめます! 其の五のその後
「な、な……」


 ポカンと口を開けていた上層部の連中たちの間抜けヅラが、みるみる歪んでいく。


「なにをするのだー! このバカ女は!」


「やっかましい! 人をバカ呼ばわりすんな! あんたらなんて脳みそ発酵してる健康食品のくせに!」


「なにが健康食品だ! 意味がわからん!」


 あたしと連中がギャアギャア怒鳴り合っている間に、マロさんは塔子さんの元へ、お岩さんと凍雨くんはセバスチャンさんの元へ、転がるように駆け寄っていく。


「塔子おぉー!」


「遥峰ー!」


「セバスチャンさん!」


 塔子さんはマロさんに抱き起こされながら、両手でお腹を抱えて苦痛の声を漏らす。


「う……」


「塔子! 大丈夫でおじゃるか!?」


「遥峰! あんた全身血まみれじゃないの! 本気で死ぬ気だったの!?」


「そうですよセバスチャンさん! なんでこんなムチャしてるんですか!」


 セバスチャンさんは傷だらけの身をどうにか起こして、大きく息を吐いた。


「好きでムチャをしたわけではございません。それに、どちらかといえばわたくしよりも……」


 そして、なんとも複雑な苦笑いを浮かべてあたしを見る。


「天内のお嬢様の方がよほどムチャですね。ご覧なさいませ。どうやら鬼たちが状況を理解し始めたようです」


 不思議そうに周囲を見回していた鬼たちが、結界が解けたことに気がついた様子を見せている。
< 69 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop