君はヴィラン ―冷血男子は結婚に懐疑的―
それぞれの正体
「ヤダ〜! 蛇ッ! 僕、蛇嫌い〜!!」

 礼門が情けない声をあげた。

 魔獣は、最初に見た時よりも力を付けているように見えると、その場に由真がいたら思ったことだろう。

 蛇が嫌いだと言って逃げ惑いながら、礼門は上手に魔獣からの攻撃を交わしていた。

 夜間の公園、すでに出入り口は封鎖し、中央部の噴水のところまで魔獣を追い詰めたものの、由真がまだ姿を見せない為、結界を張ることができない。

「イエロー! 彼女に言うわよ!」

 姉である素子にたしなめられて礼門が背筋を伸ばした。

「いやいや、それはやめて」

 腰を引きながら、礼門は両手の小剣をくるくると回し、蛇を裂いていく。
 しかし、蛇は切った端から再生していく。

「まいったな、ブラック、遅いね」

 鉄扇で舞うように蛇を交わしながら蘇芳が言う。

「連絡はついて、こちらに向かってはいるようなのですが……」

 槍で、的確に蛇の頭を次々と破壊しながら征治が言う。槍に絡みついてくる蛇をなぎはらいながらなので、一番消耗が激しそうだ。

「このままだと、こっちが消耗する一方ね」

 素子の武器は自身の拳だ、今も拳で蛇を潰している。既に白いスーツは魔獣の体液で大変な事になっていた。

「けど、今回取り逃すともう浄化は難しい、間に合ってもらわないと」

 蘇芳が鉄扇で再び薙いだ。
 対蛇については、蘇芳の武器が最も効果が高いようで、半分以上は蘇芳が薙ぎ払っていた。
 しかし、無尽蔵に湧き出してくる子蛇を前には、焼け石に水だ。
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