千年前の約束を言われても、困ります
PM:11:00

 祖父母とフミさんに誕生日を祝ってもらったあと、私は外に出ていた。
 毎年誕生日の夜は無性に“誰か”に会いたくなる。心の中が“誰か”を求めて騒ぎ出す。それが誰なのかは私自身もわからない、とても奇妙な感覚なのだ。無論、誕生日を祝ったもらったことに対する不満は微塵もない。それとはもっと別のところにあるように私は思えた。
 街路には人一人見かけず恐ろしい程静かだった。私だけ別世界に入り込んだように、聞こえるのは私が積もった雪を踏みしめる足音のみだった。


―ふと、背中に強い視線を感じた。


「……っ!?」


 恐る恐る振り返った私はその場に凍り付いた。
 暗闇の中、赤くギロリと怪しく光る3つの目がこちらをじっと見据えていたのだ。


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