俺様社長に甘く奪われました
「とにかく社長と同じ高校なんて、なんかすごいっすよね」
「ただ同じ出身校ってだけよ」
「高校時代の社長ってどんな感じだったんですか?」
莉々子も松永に便乗する。当時からクールだったのか、それとも今の年齢になるまでの過程でそうなったのか、ちょっと興味がある。
ところが志乃は、「学年が違うからよくわからないわ」と首を横に振った。
言われてみれば、それもそうかもしれない。同じ学年でもクラスが違えば全然知らない人もいるくらいだから、学年が違えば余計だ。
「でも、社長なら目立つだろうし。会って話したりはしなかったんですか?」
「……ないわよ」
「そうですか。なんか社長の武勇伝みたいのがあったら聞きたかったんですけどね」
「残念でした。はい、そんな話はおしまい。仕事しなさい、仕事を」
志乃はパンパンと手を叩いて解散を促した。
ハンドクリームの行方が気になりつつ、その日の仕事を終えて莉々子がロッカールームから出ると、ちょうど松永が男性側から出てきたところだった。
「お疲れさま」
「お疲れっす」