俺様社長に甘く奪われました

「そうよ、莉々子さん。怒ったりしてないから心配しないで。むしろ喜ばしく思ったくらいよ」


 百合がふふふと上品に笑う。


「……はい?」


 莉々子は、わけがわからずポカンとしてしまった。
 自分は見合いの席に乗り込んだ不届き者だと罵られて当然のことをしたのだ。息子をたぶらかした悪い女だと蔑まれても仕方のないことだったはずだ。


「あら? 怪我しているの? 大丈夫?」


 そう言いながら百合も向かいのソファに腰を下ろすと、「母さんまでなんだよ」と奏多がつれないことを言う。


「せっかく奏多の恋人に会えたんですもの。お話しくらいさせてくれたっていいじゃないの。ね? 莉々子さん」
「は、はい……」


 隣の奏多を見てみれば、ため息を吐きながら困り顔で髪をかき上げた。


「あの、私のことを本当に怒っていらっしゃらないんですか?」
「ええ、まったく。だって、奏多が初めて恋人だって紹介してくれたんですもの」

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