俺様社長に甘く奪われました

「莉々子、一緒に来て」
「え? どこに?」
「いいから早く」


 祥真が莉々子の腕を掴み、真紀から引き離す。


「真紀ちゃん、ごめん、ちょっと莉々子を借りるから」
「え? は、はい……」
「え、ちょっ、祥真……!」


 莉々子の戸惑いも素知らぬ顔。祥真は腕をグイグイ引っ張って、近くに止めてあった彼の車の助手席へと半ば強引に押し込めた。
 窓から見えた真紀は、呆気にとられたようにしてその場に立ち竦んだままだった。

 わけがわからないまま発進する車。祥真はなに食わぬ顔をしてハンドルを握っている。


「あれから、俺の言いつけどおりにちゃんと眠ってる?」


 真紀と同じ質問をぶつけられた。


「……うん。あのときは迷惑をかけてごめんね」
「別にどうってことはない。俺は、莉々子が元気ならそれでいいよ」

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