俺様社長に甘く奪われました

「どうしてですか? どうしてそんなに私と付き合いたいと思うんですか?」


 莉々子は、我ながらすごい質問をしていると思った。相手は朝ソリの社長だ。
 でも、聞かなければわからないのだから仕方ない。

 望月は「座ったら教えてやる」と、スツールをトンと叩いた。
 向けられた誘惑的な目に引き寄せられるように、莉々子がそれに応じる。いつものごとく逆らえない眼差しだった。
 莉々子が座ると、望月は目線をグラスに落とした。


「三年前のことを覚えているか?」


 唐突に聞かれ、どのことを言っているのか莉々子の頭が混乱する。


「……三年前って」


 莉々子が振られたあの夜のことを言っているのだろうか。それともまったくの別件か。ただ、三年前といったら、望月と莉々子の間にはほかに接点はない。だとすれば、望月はあの夜の女が莉々子だと気づいていたのか。
 莉々子の鼓動が徐々に速まっていく。


「莉々子がこっぴどく振られた夜のことだ」

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